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NW H23秋 午後Ⅰ 問2

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 メールアーカイブシステム導入に関する次の記述を読んで,設問 1〜3 に答えよ。

 A社は,電子メール(以下,メールという)サーバを2年前に導入した。5,000名の社員が,本社,支社,支店に設置されたPCから,このサーバを利用している。メールは業務に不可欠であり,情報管理と事業継続の両面から重要な位置を占めている。
 現在,A社の情報システム部では,来年度のIT予算を検討している。その中で,メルに関する次の二つの課題に対応するため,メールアーカイブシステム(以下,アーカイブという)の追加導入を計画している。
 一つ目の課題は,メールデータの管理である。メールサーバが送受信する全てのメールデータを数年間保管し,必要な情報を即座に抽出できるようにする。二つ目の課題は,災害対策である。メールデータの保管場所を複数にし,片方が被災した場合にもメールデータが消失しないようにする。
 A社のネットワークシステム構成図(抜粋)を図1に示す。

f:id:honmurapeo:20180506232408p:plain

 各拠点の接続には,広域イーサ網を用いている。大規模拠点である本社と支社には,帯域制御装置を設置し,広域イーサ網に送出する単位時間当たりのデータ量を通信の用途ごとに制御している。
 アーカイプは,正サーバと副サーバで構成し,正サーバを本社に,副サーバを遠隔地の支社に設置する予定である。正サーバから副サーバへは大量のデータが転送されることから,帯域制御装置を使い,アーカイブに必要な帯域を割り当てる予定である。
 アーカイプの処理時間には幾つか懸念事項がある。情報システム部長は,ネットワーク技術者のB君に,その検討を命じた。

 

システム要件と処理性能モデル
 メール到着の都度,メールサーバは,全てのメールを,到着時刻順に1件ずつ正サーバに転送する。正サーバは,受信したメールにディジタル署名を付加し,高速検索に用いるインデックス情報を作成し,データを圧縮した上で格納する。これらの処理を,保管プロセスと呼ぶ。
 正サーバは,保管プロセスとは非同期に,格納されているメールを,保管時刻の古い順に,1件ずつ副サーバへ転送する。副サーバは,受信したメールを正サーバと同様に格納する。これらの処理を,複製プロセスと呼ぶ。
 アーカイブのシステム要件を表1に示す。

f:id:honmurapeo:20180506232431p:plain

 B君は,アーカイブの所要時間に関する要件(表1中の項目d,f)を実現できるかどうかを検討するために,図2に示す処理性能モデルを作成した。

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 このモデルでは,メール1件に対する保管プロセスと複製プロセスを,二つの待ち行列と三つの処理に分解している。
 B君は,各プロセスの所要時間を,次のように検討した。

 

保管プロセスに関する検討
 図2中の待ち行列aについて考える。正サーバへの格納はメール到着の都度行われるので,①その到着は M/M/1 の条件を満たすと仮定し,最繁時の平均待ち時間を算出する。最繁時には,  ア   件/秒の処理要求(λ)が発生する。また,単位時間の平均処理数(μ)は,サーバの処理能力から   イ   件/秒である。したがって,利用率(ρ)は   ウ   となり,処理中のものを含めた待ち行列の長さの平均(平均系内数)は40,平均待ち時間は   エ   秒と算出できる。以上から,保管プロセスの平均所要時間は,1秒未満であるから,平均所要時間の上限(表1中の項目d)は超えていない。

 

複製プロセスに関する検討
 図 2 中の待ち行列3には,M/M/1は適用できない。最繁時には,利用率(ρ)が1以上となり,大量のメールが正サーバに滞留する。そこで,処理性能モデルを見直し,滞留したメールが連続的に転送されると仮定する。その場合,1日に転送されるメールデータ量(189,000件/日×12.5×10^3バイト/件)を,転送効率50%で24時間以内に転送することになる。B君は,②これらの条件で必要となる回線速度を算出し,アーカイブに0.5Mビット/秒の帯域を割り当てることにした。
 次に,B君は,メールの到着時刻と転送時刻の関係を調べるため,図3を作成した。

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 図3中の上段のグラフは,時間帯別のメールの到着数を示している。同じ時間帯に到着したメールは,到着順に4,500件を1グループとし,1〜42のIDを付与している。
 図3中の下段のグラフは,到着したメールが0.5Mビット/秒の帯域で順次転送される場合,どの時間帯に転送されるのかを示している。
 図3によると,7:00〜8:00に到着したID1のメール群は,同時間帯に転送される。
 一方,9:00〜10:00に到着したID13のメール群の転送は,同時間帯ではなく。  オ   :00〜   カ   :00に行われる。このことから,ID 13 のメール群の各メールに関する,複製プロセスの所要時間は,約   キ   時間とみなせる。
 このようにして,B君は,図3から,複製プロセスの所要時間が最大となるのはID   ク   のメール群であり,その所要時間は,約   ケ   時間になると推定し,所要時間の上限(表1中の項目f)は超えないと判断した。

 以上の検討から,B君は,広域イーサ網の帯域1.5Mビット/秒(表1中の項目h)のうち,0.5Mビット/秒を割り当てることで,アーカイブの所要時間に関する要件(表1中の項目d,f)を実現できることを,情報システム部長に報告した。

 

設問1

 〔システム要件と処理性能モデル〕について,(1)〜(2)に答えよ。

(1)正サーバが,メールにディジタル署名を付加する目的を,20 字以内で述べよ。
 

解答例・解説
解答例

 メールデータの改ざん防止のため

解説

 XXXXXXXX

 

(2)表 1 の要件における。本社被災に関するメールデータの RPO(リカバリポイント目標)を答えよ。
 

解答例・解説
解答例

 24 時間

解説

 XXXXXXXX

 

 

設問2

 〔保管プロセスに関する検討〕について,(1)〜(2)に答えよ。

(1)本文中の下線①について,到着条件を20字以内で述べよ。
 

解答例・解説
解答例

 メールがランダムに到着する

解説

 XXXXXXXX

 

(2)本文中の   ア    エ   に入れる適切な数値を答えよ。
 

アの解答例・解説
解答例

 10

解説

 XXXXXXXX

イの解答例・解説
解答例

 12.5

解説

 XXXXXXXX

ウの解答例・解説
解答例

 0.8

解説

 XXXXXXXX

エの解答例・解説
解答例

 0.32

解説

 XXXXXXXX

 

 

設問3

 〔複製プロセスに関する検討〕について,(1)〜(3)に答えよ。

(1)本文中の下線②について,必要となる回線速度を求めよ。答えは小数第 3 位を四捨五入して,小数第 2 位まで求めよ。
 

解答例・解説
解答例

 0.44

解説

 XXXXXXXX

 

(2)本文中の   オ    ケ   に入れる適切な整数を答えよ。
 

オの解答例・解説
解答例

 13

解説

 XXXXXXXX

カの解答例・解説
解答例

 14

解説

 XXXXXXXX

キの解答例・解説
解答例

 4

解説

 XXXXXXXX

クの解答例・解説
解答例

 42

解説

 XXXXXXXX

ケの解答例・解説
解答例

 9

解説

 XXXXXXXX

 

(3)割り当てる帯域を0. 5M ビット/秒から 1.5 M ビット/秒に増やした場合,複製プロセスの所要時間は最大何時間となるかを整数で答えよ。また,その根拠を 50 字以内で具体的に述べよ。
 

所要時間の解答例・解説
解答例

 1

解説

 XXXXXXXX

根拠の解答例・解説
解答例

 到着件数が転送可能件数を上回るのはピーク時間帯だけで,次の時 間帯には滞留が解消するため

解説

 XXXXXXXX

 

 

IPA講評

出題趣旨

 本問では,電子メールのアーカイブシステムを題材に,ネットワークの性能設計に関する基本知識と応用能 力を問う。
 ネットワークの高速化,大容量化が進み,従来に比べて性能要件を巡る緻密な検討を必要とする場面は減少 している。しかし,待ち行列理論を応用したり,システム要件から必要となる回線速度を算出したりすること は,ネットワーク技術者としての必須能力であることに変わりはない。公式を理解したりグラフを読み解いた りする力も重要である。
 なお,問題作成に当たっては,基本的な内容の理解を確認することに重点をおき,煩雑な計算を避け,受験 者への負担軽減を図った。

採点講評

 問 2 では,電子メールのアーカイブシステムを題材に取り上げ,ネットワークの性能設計について出 題した。本文では,処理性能モデルを使って,ネットワークシステムが性能要件を満たすかどうかを分 析している。おおむね良くできていた。
 設問 1 では,アーカイブシステムの基本的な理解を問うている。正答率は高かった。
 設問 2 では,(1)と(2)エの正答率が低かった。M/M/1 ではランダム到着が前提となる。これは,単位時 間の到着数がポアソン分布に従うこと,又は,到着間隔が指数分布に従うことと数学的に同値である。 平均待ち時間を求める公式とともに,再度,待ち行列理論を確認していただきたい。
 設問 3 では,(2)ケと(3)の正答率が低かった。空白の解答や,メール 1 件当たりの所要時間ではなく メール全体の所要時間を算出しようとした解答などが散見された。滞留を含むデータ転送の遅延時間を 推定する問題である。あまりなじみがない題材だったかもしれないが,実務において,この種の考察を 必要とする場合もある。
 なお,図 3 で示した内容は単純であり,本文を注意深く読めば,正答にたどり着ける問題である。